ヴォイニッチ手稿は
「世界一謎に満ちた本」
と呼ばれるほど不思議な存在であり、今もなお人々を魅了し続けている。その「正体 真相」をめぐる研究者たちの議論や、「なぜ読めない」のかという大きな壁、そして時折話題になる「解読成功」のニュースなどは、常に注目を集めてきた。
さらに、ネットでは「後ろから29ページ」に隠された手がかりや、「読める さとこ」といった奇妙な噂、「2ch」での怪談的な盛り上がりなどもあり、より一層の「怖い」と感じさせる理由になっている。
また、本文中に現れる「ナーナ」という不可解な言葉や、異世界を思わせる不気味な挿絵も、人々の恐怖心を刺激している。未解読文書が放つこの独特の不気味さこそが、ヴォイニッチ手稿を特別な存在にしているのである。
この記事では、なぜヴォイニッチ手稿が「怖い」と話題になるのか、その背景と謎について解説する。
ヴォイニッチ手稿 怖いと話題になる原因を解説
- なぜヴォイニッチ手稿は怖いと感じるのか？
- 後ろから29ページに隠された不気味な手がかり
- 「読める さとこ」とは？
- 解読成功の報告は本当？
- 2chで盛り上がった“怖い話”
なぜヴォイニッチ手稿は怖いと感じるのか？
ヴォイニッチ手稿が人々に「怖い」と強く印象づけられるのには、いくつかの大きな要因が重なっている。
まず最初に挙げられるのは、完全に解読されていない文字体系そのものである。羊皮紙にびっしりと記された文字は、アルファベットでも漢字でもなく、世界のいかなる言語体系とも一致しない。100年以上にわたって暗号学者、言語学者、さらにはコンピュータによる解析が行われてきたにもかかわらず、その意味は解き明かされていない。しかも統計的に調べると、文章の構造は自然言語に近い規則性を持っており、完全なデタラメではないと考えられている。
それなのに誰も読めない。この矛盾が、人々に底知れぬ不気味さを抱かせるのだ。
次に、異様な挿絵が恐怖をさらに増幅させる要素となっている。手稿のページには、存在しない植物の図が細かく描かれ、女性たちが奇妙な装置や管のようなものに接続されている姿が並ぶ。天体や星座を思わせる図像もあるが、どれも既知の学問体系に完全には当てはまらない。人間に似ているがどこか異質な存在、植物に似ているがこの世には存在しない形態――そうした曖昧な境界にあるイメージは、我々の想像力を刺激し、「異世界から持ち込まれた書物ではないか」とさえ思わせる。理解不能なビジュアルに直面すると、人は無意識に恐怖を感じてしまうのである。
さらに、歴史的な背景もまた、この書物を「怖い」と感じさせる一因である。ヴォイニッチ手稿は15世紀初頭に作られたとされるが、作者も目的も一切不明である。所有の記録も断片的で、ある時期には神聖ローマ皇帝ルドルフ2世が莫大な金を支払って手に入れたと言われる。その後も行方をくらまし、時折歴史に姿を現してはまた消えていく。まるで意思を持つかのように現れては隠れる書物の経緯は、人々に一種の畏怖を抱かせる。
また、ヴォイニッチ手稿は「解読に挑んでは失敗する」という歴史そのものが恐怖を生む。これまで世界中の研究者が挑んできたが、決定的な成果を得られた者はいない。解読に成功したと発表する人は時折現れるが、そのたびに専門家から否定される。挑戦が繰り返されるにもかかわらず、核心に迫ることはできない。この「理解できないまま残され続けている」という事実こそが、人間の理性を越えた何かが潜んでいるのではないかという不安を掻き立てる。
加えて、想像力をかき立てる余白もまた重要である。ヴォイニッチ手稿は具体的な意味が不明なため、人々は勝手に解釈を膨らませることができる。「これは失われた文明の知識書ではないか」「異星人が残した記録かもしれない」「異世界に通じる扉を示す呪文なのではないか」――こうした憶測が無数に生まれ、恐怖と好奇心を同時に刺激する。意味が不明であることが、そのまま「怖さの正体」になっているのだ。
総じて言えるのは、ヴォイニッチ手稿の怖さは単一の要素ではなく、**「読めない文字」「理解不能な挿絵」「不明な歴史」「繰り返される解読失敗」「想像力を呼び起こす余白」**といった複数の要素が複雑に絡み合って生まれているということである。この書物を手に取るとき、人は「知りたい」という好奇心と「知ってはいけないのでは」という恐怖心の狭間に立たされる。それこそが、ヴォイニッチ手稿が「怖い」と語り継がれる最大の理由なのである。
後ろから29ページに隠された不気味な手がかり
「後ろから29ページ目」に関しては、日本の匿名掲示板2chを中心に広がった都市伝説的な噂に由来する。このページには管や奇妙な形の植物、人間が絡み合うような図が描かれており、そこから「植物が人間を支配し、生命を吸い取る」世界を描いたものではないかと解釈された。
スレッドでは「この書物はこの世界のものではない」「人間は植物に従属する存在だ」といった寓話的な解釈が次々と語られた。さらに「顔のある風車のような図は、人間が植物に取り込まれた姿を示すのではないか」といった意見もあった。
もちろん、これらは根拠のない想像にすぎず、学術的な裏付けは一切ない。しかし「意味不明な図像」に「恐怖を伴う解釈」を加えることで、人々の想像力を刺激し、このページは特に「怖い」と話題になるようになったのである。
「後ろから２９ページ」についてはこちらの記事で詳しく解説している
「読める さとこ」とは？
「ヴォイニッチ手稿 読める さとこ」という検索候補が存在する。これは研究成果ではなく、ネット文化から派生した噂である。ある人物が「読める」とSNSで発言し、その名が「さとこ」だったという話が広まり、ジョークや都市伝説のように語られるようになったのだ。
学術的に「さとこ」という人物が解読した事実はなく、あくまでネットで生まれた虚構にすぎない。しかし「解読できる人物がいるかもしれない」という淡い期待が、かえって不気味さを強調し、人々を引きつけている。
解読成功の報告は本当？
過去には何度も「解読成功」と報じられたことがある。2019年には「これは女性の健康に関する医学書だ」という説が話題になったが、後に学術的に否定された。AIによる解析も試みられたが、結論には至っていない。
そもそもヴォイニッチ手稿が「意味のある言語で書かれているのか」という根本的な疑問が存在する。大量のページに規則性を持った文字が並んでいるにもかかわらず、解読不能であることは、知識の限界を突きつけられているようで恐ろしい。解読成功のニュースが繰り返し現れては否定される流れもまた、人々の「怖さ」を助長している。
AIによる解読は成功したのか、詳しくはこちらの記事で解説している
2chで盛り上がった“怖い話”
2000年代、日本の掲示板2chでヴォイニッチ手稿は「怖い話」として盛り上がった。特に「後ろから29ページ」の噂や「異世界への扉が隠されている」という書き込みが注目を集め、多くの人に共有された。
匿名掲示板という特性上、根拠がなくてもリアルに感じられ、見る者に「本当にあるのでは」と思わせる効果があった。ヴォイニッチ手稿は未解読という土台があるため、どんな噂でも妙な説得力を持ってしまう。そのため、2chにおいても都市伝説や怪談として受け入れられ、手稿の「怖さ」を一層強調する存在となった。
ヴォイニッチ手稿 未解読文書が放つ不気味さ
- 正体と真相に迫る！学者や研究者の見解
- なぜ読めないのか？
- 世界一謎に満ちた本
- 異世界を描いた書物？
- 「ナーナ」とは何か？
正体と真相に迫る！学者や研究者の見解
学者の間では「薬草学の医学書説」「占星術と暦説」「ただの偽書説」などが語られてきた。羊皮紙やインクの年代測定では15世紀初頭の制作とされており、単なる近代の偽物ではないことは分かっている。しかし、結論は出ていない。
多くの説が並び立ちながらも真相が決まらないという事実こそが、人々に不気味さを与えている。正体を掴めないまま残されていることで、手稿は「世界最大の謎の本」として存在感を増しているのである。
なぜ読めないのか？
ヴォイニッチ手稿の文字は既存のどの言語体系にも一致せず、完全な独自記号である。文章には統計的な規則性があるためデタラメではないと考えられるが、意味は分からない。
挿絵と本文の関係も不明で、植物図や天文図が説明文と対応しているかどうかが読み取れない。200ページを超える膨大な分量にもかかわらず、解読の糸口すら見つからない点が恐ろしい。まさに「大量に書かれているのに理解不能」という矛盾が、読者に恐怖を抱かせる要因になっている。
世界一謎に満ちた本
ヴォイニッチ手稿は「世界一謎に満ちた本」と呼ばれる。その理由は、解読不能な文字、不気味な挿絵、作者不明という三重の謎にある。所有の歴史にも空白期間が存在し、ルドルフ2世が所有していた後に長らく行方不明になった事実も不気味さを増している。
現存するどの本とも異なる異質な存在であるがゆえに、手稿は人々に畏怖と好奇心を抱かせ続けている。
異世界を描いた書物？
ヴォイニッチ手稿の挿絵は、現実を超えた異世界を思わせる。存在しない植物、管につながれた人間、理解不能な天文図。これらは現実の世界観では説明しきれない。
そのため「宇宙人や異次元の存在が書いたのではないか」という説まで存在する。科学的根拠はないが、理解できない存在に答えを求めると、人はスピリチュアルやオカルトに頼りやすい。ヴォイニッチ手稿は、現実と非現実の境界を揺さぶる存在として恐れられているのである。
「ナーナ」とは何か？
「ナーナ」という言葉は手稿内部に公式に書かれているわけではない。ネットや体験談の中で使われた呼び名であり、特にnote記事で紹介された施設利用者の証言が有名だ。その人は手稿を指して「このナーナは面白い」と語り、さらに「シャガのナーナ」とも表現した。
「ナーナ」が具体的に何を意味するのかは不明だが、「本」「図鑑」といったニュアンスで用いられていたとされる。そこには「草は人を見ている」「草が人に命令する」といった寓話的な解釈も添えられていた。
学術的事実ではないが、こうした証言が不気味さを強調し、「ナーナ」という言葉そのものが恐怖を生み出している。理解不能な言葉は呪文のように感じられ、人々の想像力を刺激し、ヴォイニッチ手稿の恐怖をさらに増幅させているのである。
ヴォイニッチ手稿 怖いと話題になる原因まとめ
- なぜヴォイニッチ手稿は怖いと感じるのか
- 後ろから29ページに隠された不気味な手がかり
- 読める さとこというネットの噂
- 解読成功とされる挑戦と限界
- 2chで広がった怖い話としての側面
- 正体 真相をめぐる学者の見解
- なぜ読めないのかという解読不能の壁
- 世界一謎に満ちた本と呼ばれる理由
- 異世界を描いたかのような奇妙な挿絵
- ナーナという不可解な言葉が生む恐怖