ヴォイニッチ手稿は「世界一謎な本」と呼ばれ、今もなお研究者や愛好家を惹きつけている。その中でも特に注目を集めてきたのが、後ろから29ページに描かれた不思議な図像である。
このページはインターネット掲示板2chで「危険なページ」として話題となり、「ナーナ」という謎の言葉や、まるで異世界の知識を記したような解釈まで飛び交った。また「解読成功」や「読めるサイト」があるという噂も広がったが、研究者の見解ではまだ完全に解明されたわけではなく、「ロマンス祖語」説なども含め真相は議論が続いている。
この記事では、「後ろから29ページ」に焦点をあてて、何が書いてあるのか、そして薬理セクションにどのような意味があるのかを徹底解説する。
ヴォイニッチ手稿の後ろから29ページに描かれた謎の図像

- 後ろから29ページが注目されたワケ
- 解読成功の噂と真相
- 2chで広まった「危険なワケジ」説
- 読めるサイトは存在するのか?
- 「ナーナ」という謎の言葉の正体
- 何が書いてあるのか研究者の見解
後ろから29ページが注目されたワケ
ヴォイニッチ手稿の「後ろから29ページ目」が注目を集めるようになったのは、学術的な研究よりもインターネット上での噂や掲示板でのやり取りがきっかけである。特に日本の匿名掲示板「2ちゃんねる」では、ある利用者が「鳥肌が立つような不気味な内容が描かれている」と書き込んだことから急速に広まった。
この投稿があったページは、薬理学セクションに含まれる部分で、瓶や植物の断片が描かれており、一見すると他のページと大きな違いはない。しかし投稿者は「見ないほうがいい」とまで書き込んだため、神秘的で危険な印象が強まり、都市伝説的に語られるようになったのだ。研究者の間では特に危険視されるページではなく、他のページと同じように薬草や処方に関する内容と考えられている。
それでも「後ろから29ページ」という具体的な番号が示されたことで、人々の想像力を刺激し、特別な意味を持つページとしてインターネットで独自の存在感を持つことになったのである。
解読成功の噂と真相
ヴォイニッチ手稿をめぐっては「解読に成功した」というニュースが何度も報じられてきた。カナダの研究者スティーヴン・バクスターは「女性の健康に関する本だ」と発表し、イギリスの言語学者ジェラード・チェシャーは「ロマンス祖語で書かれている」と主張した。
さらに人工知能を使った解読実験も行われ、ラテン語や古代ヘブライ語に似た構造が見つかったという報告もある。しかし、これらはいずれも完全な証明には至っておらず、学会で正式に受け入れられたものは存在しない。「後ろから29ページ目」も同様で、解読成功の噂は掲示板やSNSでしばしば語られるものの、信頼できる研究成果は出ていない。
実際のところ、このページは薬瓶や植物の断片が描かれた処方ページと考えられており、暗号や超常的な意味を含むとする説は学術的根拠に乏しい。つまり、「解読成功」という言葉は人々の期待や想像が先行したもので、確かな真実ではないのである。

2chで広まった「危険なページ」説
2ちゃんねるでは、「後ろから29ページ目を見てはいけない」という投稿が話題になった。あるユーザーは「そのページには植物が人間を利用する恐ろしい世界観が書かれている」と主張し、他のユーザーもそれに反応した。この説では、人間は植物に従属する存在であり、食べ物として利用されるという不気味な構図が語られていた。もちろんこれは科学的根拠がなく、実際にそのような内容が描かれているわけではない。しかし匿名掲示板では「見た人は不幸になる」「精神に影響を及ぼす」といった都市伝説的な要素が追加され、さらに恐怖をあおる内容に膨らんでいった。
研究者にとっては通常の薬理セクションの一ページであるにもかかわらず、ネット上では「危険なページ」というイメージが定着してしまったのである。この現象は、人間が未知のものに対して恐怖や神秘性を付与する典型例といえる。
読めるサイトは存在するのか?
ヴォイニッチ手稿の「後ろから29ページ目」を含む全ページは、イェール大学ベイネッキー図書館のデジタルアーカイブで一般公開されている。公式サイトでは高解像度の画像が無料で閲覧でき、誰でもその不思議な図像を見ることが可能だ。そのため「読めるサイト」という意味であれば確かに存在する。
ただし「文字を現代語に翻訳して読めるサイト」という意味では存在しない。これまでに一部の研究者や愛好家が解読を試みた翻訳ページはあるが、どれも推測の域を出ない。つまり「画像を見られるサイト」は公式に存在するが、「内容を正しく翻訳したサイト」はまだない、というのが実情である。インターネットで「解読版」と称して公開されている情報の多くは、研究者の間では信頼性が低いとされているので、閲覧の際には注意が必要である。
ヴォイニッチ手稿が閲覧できるイェール大学ベイネッキー図書館のデジタルアーカイブ公式サイトはこちら
「ナーナ」という謎の言葉の正体
掲示板のやり取りの中で、「ナーナ」という謎の言葉が登場したことがある。この言葉はヴォイニッチ手稿の本文から直接確認されたものではなく、2ちゃんねるなどのユーザーが不気味さを演出するために書き込んだものである可能性が高い。手稿の文字は独自の文字体系で構成されており、ラテン文字やギリシャ文字の変形に似ている部分はあるが、「ナーナ」という音に対応する明確な単語は報告されていない。
したがって、この言葉はインターネットの都市伝説に付け加えられた要素にすぎないと考えられる。とはいえ、一部のユーザーの間では「手稿の中に隠された言葉ではないか」「悪い意味を持つ暗号ではないか」といった憶測が広がり、さらに神秘的な印象を強めた。こうした要素が混ざり合うことで、「後ろから29ページ目」はますます不思議な存在として語られているのである。
何が書いてあるのか研究者の見解
研究者たちは、ヴォイニッチ手稿の「後ろから29ページ目」に関しても、他の薬理セクションのページと同じように「薬草の断片と処方」を描いたものと考えている。ページには瓶のような容器と植物の部分図が描かれており、その周囲に短文のテキストが並んでいる。
この特徴は薬理セクション全体に共通しており、薬の調合法や保存方法を示している可能性がある。つまり、特別に危険な意味が込められているわけではなく、当時の薬学的知識を記録したとみられるのだ。ただし文字が完全に解読されていないため、内容を確定することはできない。研究者の中には「中世ヨーロッパの薬草学書を参考にしたもの」と見る意見もあり、奇妙に見える図像も中世的な文脈では理解可能だとされる。結局のところ、後ろから29ページ目が特別に危険というよりも、インターネットの噂が人々の想像を膨らませた結果として神秘性が付与されたに過ぎないのである。
ヴォイニッチ手稿 後ろから29ページの薬理セクションを徹底解説

- 「世界一謎な本」と呼ばれる理由
- ロマンス祖語説と29ページの関係
- 異世界とのつながりを示すとされる解釈
- 研究で少しずつ明らかになる真相
「世界一謎な本」と呼ばれる理由
ヴォイニッチ手稿は「世界一謎な本」とよく紹介される。その理由は、まず文字体系が誰にも読めない独自のものであることだ。アルファベットやギリシャ文字に似ている部分はあるが、完全には一致しない。さらに文章のパターンを調べると、自然言語に似た規則性があるにもかかわらず、既知のどの言語とも一致しない。
これにより「ただのデタラメではないのに、読めない」という最大の謎が生まれている。また、本文には現実に存在しないような植物や、星座、女性が水に浸かる奇妙な挿絵などが描かれており、用途が想像できない点も不思議さを強めている。後ろから29ページ目に描かれた瓶や植物の断片も例外ではなく、何のために記録されたのかがわからない。こうした特徴が積み重なり、この本は「世界一謎な本」として世界中で語られているのである。
ロマンス祖語説と29ページの関係
2019年、イギリスの言語学者ジェラード・チェシャーが「ヴォイニッチ手稿はロマンス祖語で書かれている」と発表し注目を集めた。ロマンス祖語とは、イタリア語やスペイン語、フランス語の元になった古い言語で、中世ヨーロッパで使われていたとされる。この説によれば、薬理セクションの記述も「当時の薬草や処方について書かれた記録」として理解できる可能性がある。
ただしこの発表は学界で強く批判され、証明が不十分だとされている。特に「後ろから29ページ目」については、瓶や植物の断片が描かれているだけで、ロマンス祖語との直接的な関連は立証されていない。しかし、もし本当にロマンス祖語が使われていたなら、このページは中世の薬学知識を記録した貴重な資料となり得る。現段階では仮説の域を出ないが、29ページの謎を言語の視点から解き明かそうとする試みの一つとして注目されている。
異世界とのつながりを示すとされる解釈
インターネットやオカルト界隈では、ヴォイニッチ手稿を「異世界からの書物」とみなす説が存在する。特に後ろから29ページ目は、現実には存在しない植物や不思議な器が描かれているため、「この世のものではない知識を写したページではないか」と言われてきた。掲示板では「植物が人間を支配する世界が描かれている」とする書き込みもあり、異世界や並行世界とのつながりを連想させる内容に膨らんでいった。
もちろん科学的な裏付けはなく、実際には薬理セクションの一部である可能性が高い。しかし人間の想像力は未知の存在に意味を付けたがるため、このページは特別な象徴として扱われてきた。異世界説は根拠がないものの、「読めない本」と「不思議な図像」が組み合わさることで、そうした解釈が生まれるのも自然な流れといえるだろう。
研究で少しずつ明らかになる真相
長年の研究によって、ヴォイニッチ手稿の謎は少しずつ解明されつつある。2013年のカーボン年代測定では、羊皮紙が15世紀初頭のものであることが確認された。つまり、この本は近代の偽物ではなく、本当に中世に作られたものであることが科学的に証明されたのである。また統計的な分析から、文字列が自然言語に近い規則性を持っていることもわかってきた。
さらに絵に描かれている瓶や植物が、当時の薬学書に見られる特徴と一致するという指摘もある。後ろから29ページ目についても、奇妙な暗号ではなく、薬の調合法や材料の断片を示した可能性が高いとされる。つまり、完全な解読には至っていないものの、少しずつ「ただのデタラメではない」ことが裏付けられてきているのだ。将来的には、言語学やAIの研究が進むことで、このページの真相もより明らかになるだろう。
ヴォイニッチ手稿 後ろから29ページに描かれた謎まとめ
- ヴォイニッチ手稿 後ろから29ページが注目される理由は2chでの書き込みと都市伝説的な広がり
- 解読成功の噂は多数あるが学術的に認められたものは存在しない
- 「危険なページ」説や「ナーナ」という言葉は掲示板由来の憶測に過ぎない
- 読めるサイトはイェール大学の公式アーカイブで閲覧可能だが内容の翻訳は未解明
- 研究者の見解では薬理セクションの一部で薬草や処方を示している可能性が高い
- ヴォイニッチ手稿が「世界一謎な本」と呼ばれるのは言語も図像も未解読だから
- ロマンス祖語説は発表されたが確証はなく真相解明には至っていない
- 異世界とのつながりという解釈は根拠がなくオカルト的想像に基づく
- 研究の進展で少しずつ真相に近づいているが完全解読にはまだ時間がかかる